セラピストの美容知識

肌悩みの原因を探る脳腸相関について

お客様の肌悩みを前にした時、
『皮膚は3つの鏡』と常に捉え、原因を探っています。

あなたのファンで予約を埋めるサロンづくり
ファンメイクプロデューサー
澤居寿江です。

皮膚は3つの鏡

・環境の鏡
・内臓の鏡
・精神の鏡

臓器と捉えた時は皮膚、そして「肌が合う」や「鳥肌が立つ」「肌で感じる」など感情や心理が備わる場合を私達は『肌』と呼びます。

つまり、
私達の臓器を1番外側で覆っている皮膚には、
脳(感情)に直結する求心力を持ち合わせています。

そんな肌は、
外気に触れている臓器であるため環境の影響を受けやすく
スキンケアの良し悪しで
肌状態は変わることは理解できるでしょう。

そして内臓自体は、
常日頃、目で見て確認ができないことから

そのコンディションを
皮膚に現わすことも多い。

さらに、
皮膚を臓器としてみなすだけではなく

『肌』と言う感情が表現される組織であると捉えるならば
精神的なことでも
肌コンディションに変化を及ぼすことは
想像がつきやすいでしょう。


例えばストレスが原因でニキビができる。
その過程には、
便秘や下痢などの消化器官の不調も発症する。

慢性的な不安や悩みを抱え
敏感な肌状態に陥る。

その過程で、
差し込むような腹痛や
下しやすい症状も付随して起きやすいです。

肌の専門家(スキンセラピスト)は、

お客様の肌悩みを前に

3つの鏡であることを理解しながら
決して原因はひとつではなく

その3つが
相関的に関与していることを想定し

ひとつずつ
その可能性をみつけて改善を目指しています。

お肌を通して探る腸と脳の相関関係

お客様はコンディションの異常を
『肌悩み』として
私達のところに相談に訪れます。

肌の専門としてはまず第一に

スキンケアの悪しき習慣を疑います。



・日頃使用する化粧品の有無
・その使い方
・その分量

それから、
1日の大半を過ごす環境について
肌に影響を与えることはないか探ります。

しかし中には、
それを見直し改善したからと
全てがうまく収まるわけではありません。

生まれ持った肌質ではないのに
ニキビが出続けて悩むことや

大人になってから
肌がデリケートに陥って悩む

それから、
年を重ねて現れる『減退肌』

シミ・シワ・たるみなどの老化現象は
紫外線など外的要因はもちろんですが

これまでの食生活や精神状態とも
大きく関わっています。

『脳腸相関』という概念を持つことで

20年前にはこのような概念がなかった美容の世界も
ここ数年で大きく『脳』や『腸』の存在が取り上げられています。

肌に関して言うと
『免疫』『ホルモン』『自律神経』
深く関与するという事で

これらの先駆者である感情=脳として
大脳生理学などを学ぶ機会がありました。

そして更に、
脳と腸の相関関係から

肌も内臓の鏡と言われるわけですから
『腸内環境』について学ぶことは

肌悩みの原因や改善の策においても
重要なテーマだと考えています。

腸は、そこに宿る微生物との密接な相互作用を通して、基本的な情動、痛覚感受性、社会的な振る舞いに影響を及ぼし、意思決定さえ導く。

腸と脳 エムラン・メイヤー著 髙橋洋約

この文章の中では、
私達の日頃の意思決定には

腸と脳の複雑なコミュニケーションが関与すると
書かれています。

腸は第二の脳

腸の中には、
脳にさえ匹敵する能力を持つ!


腸管神経と呼ばれる独自の神経回路を備えています。

これが第2の脳と言われる所以です。

私達が口にするすべての食物から
体内への侵入を許す物質と
阻止する物質とを区別する免疫防御システムを
独自に持っているというわけです。

また、
腸に宿る細菌においては

平均100から1000兆個と言われる「兆個」単位の
マイクロバイオータ(腸内細菌)と共存をして

危険な細菌を検知してもらっている。

菌を住まわせ
菌に免疫防御を助けてもらうと言う

まさに『共存』スタイルですね。

マイクロバイオータ(腸内細菌)は健康を資する

私達は腸内細菌にとっては『宿主』です。

ちなみに、
腸内細菌の始まりは母親の細菌を植え付けられるところから始まる。

そして、
2~3歳でほぼ、どのようなマイクロバイオータを保持するかが
決まるという事です。

つまり、
胎児のうちに母親から受け継いだ細菌の種類や
母乳の有無が

どのような種類の、どれだけの数の常在菌と
腸内で共存させるかが決まる。

その後の人生の免疫システムや健康に関わる
先天的なことに大きく影響をしているのです。

マイクロバイオータは、
私達宿主から栄養を受け取り
その代わりとして
腸のバランスを保つお手伝いをしてくれています。

ありがたいです。

だから私達は日頃
菌のエサとなる食物繊維を多く摂ることを
意識したり

バランスを摂る菌を増やすために
発酵食品を率先して摂取しようとします。

私達に牙を向ける有害な細菌

腸内細菌は、

善玉菌が2割、悪玉菌が1割、日和見菌が7割。
腸内バランスが整っている比率とされています。

あの悪玉菌でさえ
動物性たんぱく質を分解するには
なくてはならない存在なのですね。

ところが、
特定の条件を満たすと、

私達に牙を向けるような
腸壁を攻撃する細菌が現れることは知っていますか?



なんと、
・食生活の変化
・抗生物質
・強いストレス
これらは炎症や潰瘍を引き起こすそうです。

特定の細菌が増えたり、毒性が高まることで
牙を向ける悪に変わってしまうと言うわけです。

食における腸内環境への関り

例えば
『ニキビ』でお悩みのお客様の
食に対する聞き取りしていくと

・ストレス発散から快楽フードの過剰摂取
・多忙による外食や加工食品の常習
・動物性たんぱく質が多めの偏食



独り暮らしや、ひとりで食事をする機会が多く
ファストフードやコンビニ
そして
冷凍食品やお菓子、スイーツなどが多いように感じます。

残念ながら
本人はそれが異常だと気づかないことが多いですが…。


菌は食生活の変化に柔軟に対応をする

例えば、
快楽フードと言われる
高脂質なものや高カロリーなものを口にし続けても

時短のための手っ取り早い
添加物多めの加工食品や
偏りやすい外食を続けても

腸内細菌は、発酵・消化・吸収をします。

もし、
異物としてその流れを拒絶してくれたら

宿主である私達も
もっと食について気をつけるかもしれませんね。


腸内細菌と全体で捉えた時、
カタチを変えながら

私達が摂取するどのような栄養素も
受け入れてしまうという事になります。

その結果どうなるか?
慢性的な低悪性度炎症を引き起こす。

腸を発端とする炎症は、身体中に広がり、(思考をコントロールする領域を含め)重要な脳領域に達する可能性があり、このプロセスは腸内微生物が強く関与している。

腸と脳 エムラン・メイヤー著 髙橋洋訳


動物性脂肪が高い食べ物を過剰摂取したり
逆に
植物性食物の割合が低かったり

多量の添加物や保存料が含まれる
加工食品を多く摂っていると


脳ー腸ーマイクロバイオータ
この相関関係を悪い方へ導いていく。

その結果、

循環器系疾患やがん発症リスクを高めることになるそうです。

腸内環境は食事の仕方次第で変わる

細胞は食べたものでできている、
だから何を口にするかがとても大事で

健康維持にとても重要な役割を担っていますが

その健康維持にあたる腸・脳、その相関関係は
生まれた瞬間に始まると先に述べました。

母親の産道から浴びてきた細菌や母乳、
離乳食からマイクロバイオータの影響は大きく関わってきました。

二歳半から三歳になるまでに、生涯保たれるマイクロバイオームが形成されることが明らかになった。

腸と脳 エムラン・メイヤー著 髙橋洋訳

つまり、
腸内細菌をどのような種類、どれだけ宿しているかは三歳までに決まる。

そして、
私達の食習慣は

この決まったマイクロバイオームの構成事態を変えるのではなく
これらが生成する代謝産物を変えているのです。

脳と腸の遠心・求心の関係

ストレスを感じる=感情が、私達に牙を向けるような腸内細菌に変わったり

腸内に、動物性高脂肪の食物が過剰に増えれば
満腹中枢に異常をきたしたり

腸から脳へ
脳から腸へ

遠心と求心の関係性があることがわかりました。

そして、そのような関係性に左右される肌もまた
食生活と大きく関わっているのです。

お客様の情報を得るために用いる
カウンセリングシートには必ず

食生活の正しさや
偏食・偏りなどの傾向
嗜好性などを問う項目があると思います。

施術重視のエステティシャンやセラピストは
とかくこの辺の質問項目を
スルーしがちですが

本当にお客様の悩みを『改善』に向けたければ
もっと深く理解する必要があります。

そして、
質問に対しての「はい」「いいえ」だけの回答ではなく

ライフスタイルがイメージできるほどの情報量を
しっかりと聞き取れる
会話からの創造性も養っていきたいですね。

カウンセリングは術であり
磨くべき技である。


お客様の信用を信頼に変える1番最初は「聞き取り」からです。

ちょっと変えるだけであなたのファンが会いにくる